樹脂3DプリンタのMark X7においてベースの樹脂として使用される『ONYX』はナイロンを「マイクロカーボン」で強化した材料になるのですが、この「マイクロカーボン」に関する情報は装置メーカーから開示されていません。

しかし、詳細が分からない材料を造形に使用するのは問題であると思いまして独自に調査を行ってみました。(※弊社では材料分析も受託サービスとして頻繁に行っておりますので、今回の分析は社内で全て実施しております。)

分析方法

①塩酸でナイロンのみを溶解。
②ろ紙にてマイクロカーボンを捕集。
③重量測定・寸法測定・拡大撮影を実施。
※寸法測定・拡大撮影にはマイクロスコープ(キーエンス製:VHX-6000)を使用しました。

分析結果

マイクロカーボンの拡大撮影・寸法測定の画像




マイクロカーボンの含有量測定・寸法測定の結果

【マイクロカーボンの含有量】

ONYXの重量比で10~12%程度含有されていました。

【マイクロカーボンの長さ】

長さは20~350μmとバラツキがあり、150μm前後の長さのものが多いように見受けられました。

【マイクロカーボンの断面形状】

6×10μm程度の断面形状になっているものが多いように見受けられました。

まとめ

「マイクロカーボン」という呼び名のためもっと微細な粉体のようなものをイメージしていましたが、実際に拡大観察をしてみますと想像以上に長いことに驚きました。
ただ、装置メーカーからMark X7はONYXを使用することで高精細な造形が可能と言われていましたので、こうしたマイクロカーボンを入れてナイロンの収縮を抑えることでそれを実現しているようです。

更にマイクロカーボンの存在は強度の向上や軽量化にも貢献しており、試作品だけでなく生産用治具や構造部品として実際に使用できるレベルの造形品になっているものと思われます。

ONYXを使用した3Dプリンタでどのようなものが作れるのか、具体的にどのような場面で使うことができるのか、ご興味のある方はお気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

3Dモノづくりラボ編集部

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