3DCGの技術が1980年代に実用化されてから長い年月が経っていますが、近年では実物との区別がつかないほどの高精細なモデリングも可能となっており、日常の生活においても目にする機会が増えたようにも思います。さらに5Gの実用化やIoTの発展により、3DCGのVR・AR・MRへの活用も活発になって来ています。

しかしながら、当社ではものづくりの開発工程で使用される3DCADについては馴染みがあるのですが、3DCGについてはほぼ接点がありません。そうした時代の流れを感じるためにはまずは3DCGに触れてみようということで、「Blender」というソフトを使用した3DCGモデリングに挑戦してみました。

3DCGとは?

そもそも「CG」とは「Computer Graphics」の略称で、コンピュータによる科学技術によって生成される画像のことを意味します。3DCGの活用は以下のように多岐にわたります。

映画・アニメ業界

1980年代から実写映画にも積極的に導入されるようになり、1990年代にはCGで製作したアニメも登場した。

ゲーム業界

1990年代に他業界に先がけて2DCGから3DCGへの移行が進んでおり、Autodesk社の3DCGソフト Maya 等で3DCGを作製し、ゲームエンジンの Unity でゲームを開発するのが一般的。

工業分野

主にプレゼン・営業用途として3DCGが活用されており、教育現場や製造現場においてはVR・AR・MRの活用も始まっている。

建築分野

「パース」と呼ばれる外観や内装の未来完成予想図に主に用いられている。Autodesk社の3DCGソフト 3ds Max等での作製が一般的。設計の3D化と合わせて管理までを効率化する「BIM」という新しい手法が普及し始めている。

使用ソフトウェア

アマチュアからプロフェッショナルまで幅広く使用されている「Blender」というソフトウェアを用いて、 3DCGモデリングのトライを行ってみることにしました。ソフトウェアの詳細は以下の通りです。

【名称】Blender
【種類】オープンソース型の統合3DCGソフトウェア。
【機能】3Dモデリング、モーショングラフィックス、アニメーション、シミュレーション、レンダリング、デジタル合成等。
【ライセンス料】無料

3DCGモデリングの作業工程

今回は初級編ということで、比較的形状の単純なテーブルとイスをモデリング・3DCG化していきます。

テーブルのモデリング

<工程①>

XY視野・ZX視野のモデルとなる写真をインポートし、スケール・位置合わせを行う。

<工程②>

天板のモデリング。円柱コマンドを使用し、写真と重ねながら直径・厚み・頂点数を調整する。ベベル(面取り:角を丸める)加工を行い、位置合わせをして天板の完成。

<工程③>

脚のモデリング。円柱コマンドを使用し、写真と重ねながら直径・高さ・頂点数を調整する。位置合わせを行い、天板と地面(高さ0)にスナップ(吸着)させ、90°ピッチで足を複製してテーブルの完成。

イスのモデリング

<工程①>

ZX視野・YZ視野のモデルとなる写真をインポートし、スケール・位置合わせを行う。

<工程②>

クッションのモデリング。立方体コマンドを使用して大きさ・厚み・頂点数を調整し、ベベル加工を行う。ループカットで面を分割し、座りやすいように少し湾曲させる。

<工程③>

脚・背もたれ等のモデリング。写真の形状に合うようにモデリングを行い、イスの完成。

レンダリング

最後にカラーテクスチャと背景を入れ込み、照明等を調整してテーブルとイスの完成。

まとめ

3DCGのモデリングの仕方は3DCADのモデリングとそれほど大きな違いはありませんが、感覚的に形状を作ることもできるためモデリングの自由度が高く、さらにレンダリングのバリエーションも豊富にあるため表現の自由度も高いと言えます。

3DCGデータはそのままAR・VR・MR用のデータとして利用したり、STLデータで吐き出して3Dプリンタによる造形を行うことも可能です。

3DCADでは表現することが難しい形状のものを3Dデータ化したい、よりリアルな3Dデータを起こしたい等のご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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この記事を書いた人

3Dモノづくりラボ編集部

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