リバースエンジニアリングというと、他社製品の真似をするために行われる違法な手段と考える方もおられるかと思いますが、人類の科学技術の発展にはなくてはならない手段の一つであると言えます。
今回の記事ではリバースエンジニアリングの有効性と、過去にリバースエンジニアリングを用いて大成長した有名企業の事例をご紹介させていただきます。

技術革新は模倣から始まる?

自動車の誕生は1769年にフランスのニコラ・ジョセフ・キュニョーが蒸気で走る自動車を発明したのが始まりと言われており、1908年に登場したT型フォードが大衆化された自動車の象徴となりました。
しばらくして日本でも自動車が作られるようになりましたが、メーカーの開発担当者は海外の自動車を徹底的に分解して模倣することから始めました。その後の日本のメーカーの躍進は説明するまでもありませんが、模倣無くして日本の自動車産業は成立しなかったと言っても過言ではありません。

模倣の次の段階

新興の家電メーカーが先進的なメーカーの製品を模倣することから始まって、その後、先進的なメーカーをも凌駕するメーカーになることは珍しいことではなくなりました。そういった新興メーカーが模倣の次の段階で力を入れるのが『リバースエンジニアリング』を用いた商品開発となります。

より高品質な商品開発を行うために

リーディングメーカーの製品の模倣品を製造・販売していたメーカーは、より品質の高いオリジナリティのある商品を生み出すことで会社をさらに大きくすることができると気付き始めます。
ライバル製品の『リバースエンジニアリング』を行って差別化した商品開発を行うことで市場評価が高まり、より多くのユーザーに認められるようになります。

過去の事例

日本では1940年代の後半から1960年代の後半にかけて、自動車や家電製品などのほとんどの工業製品についてアメリカ製品の模倣品を作って売っていたとされています。
1970年代に入るとより良い製品を生み出すためにリバースエンジニアリングを用いた商品開発が始まり、1980年代には新しい技術を求めるフォアードイノベーションに移行していきました。

サムスン電子に事例

日本の家電メーカーが世界的地位を築き上げると、今度は世界各国の新興メーカーがこぞって日本製品の模倣品を出すようになりました。そうした新興メーカーの一つであるサムスン電子は2000年頃にリバースエンジニアリングを用いた商品開発を行うことで大きく成長したとされています。
サムスン電子は今でこそスマートフォンにおいて様々なイノベーションを起こすことができる先進的なメーカーというイメージがありますが、家電分野においてはリバースエンジニアリングを繰り返してユーザーが望む機能を考え、既存機能をミックスさせた製品を出すことで大きくなった企業と言えるでしょう。

まとめ

リバースエンジニアリングは単に他社製品を模倣するのとは異なり、自社製品の品質を向上させるためには必要不可欠な手段と言えます。
リバースエンジニアリングにも様々なノウハウが必要になりますので、別の記事にてリバースエンジニアリングを行なう際のノウハウを紹介させていただきます。

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